累のスピンオフ小説、誘(いざな)を読みました。 累を書いている漫画家の松浦だるまさんが、小説もご自身で書いています。 累のお母さん、誘の子ども時代、顔を入れ替える力についてなど、少し謎が解けます。

感想

まず、とても読みやすい文書でした。 漫画家さんなのに、文書をかく才能もあるんですね。

話的には気持ちのいいものではありませんが、あっというまに読み終わりました。

累を読んでいて、累や誘サイドは私は、あまり好きじゃ無いのです。 野菊のお母さんや、ニナが可哀想で・・・

結局人の美しさや居場所を無理矢理奪っていく欲の塊のような印象を持っています。

羽生田が「誘」は醜さでもっと辛い思いをしてきた、と言っていたので、この小説を読んだら印象が変わるかなと思っていたのですが、むしろまた少し嫌いになりました(笑)

誘の生い立ち

誘が生まれた集落には、丙午に生まれた醜い女児は殺すという因習があった。 しかし殺されるはずのところを、千草という女性にかくまわれ、12歳まで、千草の家からは出ずに育つ。

12歳の祭りの日、家から抜け出し、そのとき出会った他の子ども達に自分が醜いということを知る。 そのことにショックを受けるが、祭りの神楽を目にし、そこで踊る「浪乃」という同じくらいの年齢の女の子に憧れる。 この抜け出したことで、千草は疑われる。 家捜しをされるが、誘は禁足地である山の小屋に逃がし、見つからずにすむ。

そこから5年程誘はその小屋で過ごすことになる。

その頃後の、羽生田に出会う。 羽生田はその集落の有力な家の子だが、愛人(というか、むりやり)との子で居場所が無く、千草の家で目が悪くなってきて千草を助けたり、誘へ荷物を運んだりする。

また、山で青年・凪をみかける。 その青年は「日朱」という顔料を探し、集落について調べていた。 誘も、なぜ自分が殺されなければ行けなかったのか、疑問に思い村の歴史等を調べていた。

正体を隠し、村の歴史等について凪と文通で考察をかわす。 結局、丙午の因習に整合性等無く、集落への怒りを感じる。

凪に恋した誘は、彼のために日朱をみつけ勇気をだして届けに行こうとする。 そこで凪が昔見た女の子、浪乃とつきあっていることを知り落ち込む。

その後、千草は病気でこの世を去る。 千草は数ヶ月程前、誘の祖母に当たる人に、「誘」やその母、父親のことを聞いていた。 そのとき、喧嘩になり、その頃から村からは孤立していた。

千草の死後、羽生田からそのことを知らされ、さらに集落への怒りを募らせ、

また、日朱の力を使い浪乃からすべてを奪い、集落に復讐をした後集落をでる。

最後の誘の復讐までは、とても可哀想なんですが、復讐が酷い・・・ とくに、誘に顔を奪われた浪乃が可哀想すぎて・・・村の男達は最低だけど。

また、羽生田がもっと辛い思いをしてきた、と言っていましたがそれも微妙です。 子どもの頃から醜さで虐められてきた累。

人目にさらされ、醜いと言われ続け、しかも母が死んでからは叔母から疎まれた累、ひきこもり生活ながら千草に大事にされた誘、どちらが辛いかというと、累の方かな?と私は思いました・・・

誘は人の美しさだけでなく、恋や命までも奪ってきた。 醜く生まれたこと、村の因習、壮絶な少女時代です。 けれど辛い思いを沢さんしたからといって人から奪って言い訳は無い。 誘はその報いをうけたのか、それとも累がうけるのか、今後の累で分かると言いなと思っています。

謎について

この小説を読んでいくつかの謎が解けました。

・累や誘はなぜ醜いのか?  集落での因習と人口維持のため、血が濃く、たまに醜い人間が生まれる。

・口紅の謎  誘がそだった山でとれる「日朱」という顔料で作られた。  500年以上前から巫女が使っていた。

顔を交換する能力は、累の血筋にしか使えないと思っていましたが、日朱で作った口紅があれば、誰でもできるのかも。

誘や、口紅のことが書かれていて、読んでよかったと思います。 累(かさね) 5巻ネタバレ感想